THE911 2005年春号

ヘコミ救急隊が『The 911 & Porsche Magazine No.44 2005年春号』で紹介されました

The911 & Porsche 2005年春号に掲載されました

小さなヘコミにはデントリペア

デントリペア
何かと細かい工程を追わなければならない板金塗装。しかし、小さいヘコミであれば板金塗装に出すまでもなく直る方法がある。それがデントリペアだ。特有の手技が必要になるデントリペアであるが、果たしてその業はポルシェのボディをどこまで復元させることができるのか。

ボディに関する悩みは様々であり、事故などで大きく破損してしまう場合もあればちょっとした弾みでついてしまった傷やヘコミもある。隣に停まっていた車にドアをぶつけられてしまったり、飛び石によってなど気づかぬ内に小さなヘコミがついてしまったりする。

さぁ、愛車にヘコミを発見してしまった貴方はどこに修理を依頼をするのだろうか。

ヘコミを板金塗装専門店に修理依頼する場合、まずその部分を均等に削り、溶接をしたり、パテを塗り平面に修正する。その後、研磨してひずみを取り、塗装を施す。と、一般の板金塗装では時間も費用も掛かる工程を追わなければならない。小さなヘコミなのにそれほどコストは掛けられない、という人も多いのではないだろうか。だからといってヘコミを放置していたら気になって仕方がない。

早い、安い、キレイ デントリペアのメリット

デントリペアの修理方法
デントリペアではこのような棒状の工具を使用し、作業を施していく。ヘコミを押し出すためのプッシュツール(左)と、ひねり出す役割をするツイストツール(右)を主に使用する。これらには100近くの種類があり、ヘコミの状況によって使い分ける。

そこで、安価で手早い修理をする方法が「デントリペア」である。これは、デントツールという棒状の工具を使用してボディの内側から力を加え、徐々に元の形状に戻していくというもの。例えば、ドアのヘコミを直す場合には窓の隙間に挟み込んだデントリツールという工具に梃子の原理で力を加えていくのだ。デントリペアは10年ほど前にドイツで開発された技術がアメリカを経由して日本に伝わり、現在では数え切れないほどの専門店が存在する。日本の板金技術用語では「揉み出し板金」というらしい。ヘコミの具合にもよるが繊細な力加減により、押し出したり、ひねり出したり時には出しすぎてしまったボディを叩いて戻したりする。板金塗装においても同じことが言えるが、やはりこれはプロの熟練の技が修理に出来栄えを左右する。

板金塗装と大幅に違う点は、「安価、短時間、塗装不要、損傷箇所のみの施行」などである、その中でも一番のメリットは「費用と時間の節約」ではないだろうか。一般的な板金塗装専門店だと5万円掛かる修理であってもデントリペアであれば1万円台からの修理が可能なのである。さらに、板金塗装では修理のために長期間車輌を預けなければならない場合が多いが、デントリペアではその場で作業が行われ、ほんの数十分での修理も可能だ。

デントリペアには塗装修理が含まれないが、塗装の割れや剥れがなければデントリペアのみで修理が可能なのである。今回の取材先であるヘコミ救急隊では、電話1本で出張修理をしてくれるそうだ。ヘコミができたGT3を修理していただいたのであるがその作業は僅か10分程度で終了した。仕上がりは、ヘコミがあった箇所が判らなくなるくらいのきれいなものであった。ポルシェは全体的に湾曲しているため、例えばドアの湾曲部の天辺では通常のデントリツールでは深くまで入らず別の工具が必要となるようだ。

デントリペアのプロが提言する板金修理の秘訣

デントリペア
デントツールを使い、微妙な力加減でヘコミをピンポイントで押し出す。熟練された技と勘が要る作業だ。

何か故障があった時、オーナーとしては車輌を購入した店で修理を依頼しようと思うかもしれない。「オーナーの依頼先としてディーラー、中古車ショップ、板金塗装専門のどれかを選ぶことが多いと思います。しかしどの選択肢における修理先もそれぞれの仕事内容や概念が異なるため、板金塗装の方法や仕上がり、金額には大きな差が出てきます。」と石原社長は言う。そこで、石原社長に「板金修理の秘訣」なるものを聞いてみた。

「まずはディーラーに修理を依頼する場合。ディーラーはメーカーの看板を背負っているため、修理に完璧さを追求します。オーナーにはきっちりとした仕上がりを期待させるのですがディーラーには、疑わしきは交換、という理念があるため、修復可能だと思っていたヘコミや傷でもパーツごと交換する場合がよくあります。ですから周知の通り、ディーラーの修理費用は高くつくのです。次に中古車ショップでの板金塗装は如何でしょうか。中古車ショップでの修理のメリットは、とにかく安くて仕上げてくれること。ただ自社で板金塗装設備を持っている店もあれば、外注に出す場合もあります。どちらにせよ、中古車ショップの場合、高いコストパフォーマンスを求める店が多いこともあり、仕上がりに関しては店によってまちまちです。」 ディーラーも中古車ショップも車輌の販売を専門としているためボディの修理を依頼するには少し頼りないところがあるのだという。

「次に板金塗装専門店はどうでしょうか。ボディの修理のことだから、ここに持ち込むのが一番賢く安心できる選択だと言えます。しかし、どの板金塗装専門店も、その看板からはその実力が如何なるものかが判らないのが現実。腕を判断するには評判や口コミに頼るしかないのかも知れませんね。」いずれにせよ、板金塗装には確かな情報の入手と良質なショップを選ぶことが重要である。

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