ヘイルマンという仕事とは

デントリペアの業界には、ドアディンガーとヘイルマンという2種類の仕事があります。それぞれの特徴について説明します。

ドアディンガーの仕事

ドアディンガー

ドアディンガーは、ドアディング(ドアエクボ)を直すのが仕事です。

ドアにできた小さなへこみを直します。ドアディンガーはある町に拠点を構え、そこから出張で行ける片道およそ1時間から1時間半をテリートリートし、活動します。仕事の依頼を受けるお客様は、自動車ディーラー、中古車販売店、整備工場、板金塗装工場などをお客様とし、商品車や、お客様から依頼を受けたドアエクボを修理するというのが、ドアディンガーの仕事です。

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一方、ヘイルマンは日本全国または全世界の雹災害を追いかけて、街から街へと点々と仕事をしながら移動するのが、ヘイルマンの仕事であり、生き方です。
ひょうが降ると生活の拠点をその街に移し(家族ごとくる方もいます)、その雹害車修理の仕事は終わるまでその街に滞在します。短くて数ヶ月、長いと数年間その街に住んで雹害車の修理に従事します。

このドアディンガーとヘイルマンの仕事ですが、同じデントリペアという技術を使うのですが似て非なるものとなります。技術も全く違うし、生き方も違います。
一つずつ説明します。

技術の違い

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ドアディンガーは一日数箇所から多くても数十箇所のへこみをお客様の拠点に出張のスタイルで直しに行きます。多い人で1日10件くらいでしょうか。お客様からの依頼で直径30〜50cmくらいの大きなへこみの修理も受けたりします。

ヘイルマンの場合は、1日に数千発から数万発のへこみを直します。したがって、へこみに対するアプローチ方法も違うし、直す手順も全く違います。使っている工具もドアディンガーとヘイルマンでは全然違います。

いやいや、何を言っているんですか。同じデントリペアの技術者なので両方できますよ、とおっしゃる方が業界にいますが、そういった方はどちらかに知識が偏りすぎていて、あまりデントリペア業界全体の事を分かっていないのかもしれません。もしくは出来ますの基準値が違う。

例えばドアディンガーにひょう害車の修理をさせるとへこみを一箇所ずつ修理する特徴があります。これは確実にへこみを修理できますが、恐ろしくスピードが遅くなります。

一方、ヘイルマンは1日に数千発のへこみを直します。ということは工具の持ち替えだけでも数百回行う訳です。だからそのロスをなくすために一度に複数のへこみに手をつけて、一度に複数の出しすぎたへこみの修正(ポンチング)をします。この技術は一朝一夕にはドアディンガーにはできません。

しかしヘイルマンは直径5cm程度のへこみを1日で数千箇所直すことに特化した技術者なので30cmを超えるような大きなへこみには対応できない場合が多いです。またドアパネルにあるへこみを修理する場合はドアディンガーの方が経験値が高いので早いです。

どちらの技術者が上か下かとかではなく、全く違う職種だと思ってください。

生き方についての違い

ドアディンガーとヘイルマンでは生き方やライフスタイルや人生設計まで違うのです。そして面白い事にドアディンガーはヘイルマンになれないし、ヘイルマンはドアディンガーになれない。両立ができないのです。これは一体どういうことかを説明します。

ヘイルマンの仕事の特徴は高収入であるのですが安定しません。なぜかというと雹が振らないと仕事がないからです。また雹の降り方によっても収入が全く変わります。ボコボコのひどいダメージの車が大量発生したときは効率が一気に悪くなるし、雹が降ったエリアが多数の地域に飛び地のように転々としてしまうとこれも一気に効率が悪くなります。なので毎年稼げる金額がお天気まかせという事になります。

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一方、ドアディンガーの仕事は、毎日毎日コツコツお客様を訪問し築き上げた安定した顧客がいるのでヘイルマンと比較すると収入は安定します。しかし一日に直せるヘコミの数の上限が低いのでヘイルマンほどの高収入は望めません。

ドアディンガーとヘイルマンの仕事は両立できない。

これはどういう事でしょうか。説明します。

例えばあるドアディンガーが東京に住んでいて、北海道で雹が降ったとします。その東京のドアディンガーが少し時間に余裕があるので北海道の雹の仕事にチャレンジしてみようと思います。北海道で日額十数万円〜数十万円の仕事を受け負い、毎日へこみ修理をこなしているときに、東京の業者さんから一箇所一万円の仕事の依頼を電話で受けます。

そんなとき、あなただったらどうしますか。今、目の前にある一日十数万円上がる仕事を放り投げて数万円かけて飛行機に乗って地元に帰り一箇所一万円の仕事をするでしょうか。ほとんどの人がしません。なので、この雹の仕事が終わった頃には、東京の仕事がなくなっているわけです。

その逆もあります。雹の仕事がないからドアディンガーをやろうと思って地元の地域に営業をかけます。ある程度仕事が取れ始めて仕事がコンスタントに受注できるようになった頃に次の場所に雹が降ります。一目散に雹害現場に駆けつけ仕事に従事しますが、数ヶ月その地域に滞在している間にせっかく開拓した地元の仕事はゼロになっているのです。

だからドアディンガーとヘイルマンの仕事は両立しにくいのです。(後ほど裏技を紹介します)

ドアディンガーとヘイルマンでは人間関係の作り方も違います。

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ドアディンガーは地域に根を張り、しっかりとした人間関係と信頼を構築し安定的に仕事を受注する。一方、ヘイルマンはまるでサーカス団のように日本全国や世界の雹害現場を飛び回りヘイルマン仲間と一緒に全世界中を旅しながらただの出張レベルではなく、その街に数ヶ月から数年住み、短い時間ではありますがその地域に根付いてその国やその街の文化を感じながら生きる仕事です。

だから現場が終わり、いよいよ次の街に移動する時には地域の仲間との別れを惜しんで、まるでテレビ番組○○滞在期のようにボロボロに泣きます。まさに弊社の会社名の一期一縁です。

またヘイルマンは家族と離れ離れになる時間が長いので、単身赴任でヘイルマンをやる方はちょっと寂しいというデメリットがあります。そのデメリットをカバーするように家族みんなで移住してくるヘイルマンもいます。

そして私たちヘコミ救急隊のデントリペアスクールは業界初のヘイルマン育成に特化したデントリペアスクールです。